推し作家様、連載中につき。
「はっ……? じゃあやっぱり、あなた田中先生なんですか??」

「ええ」


 だからなんだと言ったみたいに、ニコニコしながらうなずく先生。

 教育委員会、先生、生徒、恋愛、禁断、異動、退職、と危険なワードが頭を高速でかけめぐっていく。


「こんなの見つかったらつかまりますよ! それに羽花ちゃん、こんなの私が言うことじゃないかもしれないけど……もっと、若い人いるじゃんか、なぜに田中先生なのだ。私にはちょっと理解しかねるよ…! ほんとにごめんだけど!!」
「落ち着いて、未理」
「だって、だってっ……」


 私はどうやら、落ち着く、ってことを知らないらしい。
 一人でしゃべり倒す私に「ストップ」と手で合図した羽花ちゃんは、「あのね未理」と言い聞かせるように視線を合わせた。


「私の苗字、思い出して」
「え、羽花ちゃんの苗字……?」


 はた、と考える。
 羽花ちゃんの苗字は……


「田中?」
「ピンポン」
「……え」


 と、いうことは。
 考えたこともなかったパズルのピースが、かちっとはまったような気がした。


「田中先生は、私のお父さん」
pagetop