シンデレラ・ウェディング
「あなたたちはお互いに見る目がないようですね。ある意味お似合いなのでは?あ、結婚するとお聞きしました。おめでとうございます。今日で莉央はあなたたちと縁を切りますので、結婚式にはもちろん出席致しません。それでは、失礼しますね」
「そんなっ・・・・・・ちょっと、鏑木までどこに行くの!?あなたはうちの執事でしょ!」
お母さんは力を振り絞るように訴えた。
「私の雇い主は逢生様です。13年前、逢生様に命を受けてこちらに執事として仕えていたのです。全ては莉央さんのお側にいるためであり、決してあなたたちの為ではありません。この13年間、情の一つでも湧くかと思っておりましたが、残念ながら露ほどもありませんでした。ここに置いてもらったことには感謝致します。とてもいい勉強をさせて頂きました。それでは、私も失礼致します」
鏑木さんの言葉を聞いて、唖然と床に座り込んでいる二人とまだ項垂れている充さん。
悲しいことに、少しも可哀想だとは思えなかった。
「フッ、さすが鏑木だ。さぁ、莉央、行こうか」
微笑むあおくんにエスコートされて、私は家を後にした。