シンデレラ・ウェディング
そんなある日、あおくんが少し寂しそうな顔で言った。
「オレ、アメリカに引っ越すことになったんだ。だから、莉央と遊べるのは今日が最後になる」
それを聞いて私は泣き出してしまった。
「泣かないで莉央。これ、莉央にあげる」
そう言って渡されたのが、童話の絵本。
「これ、ちょっと莉央に似てるんだ。最初は悲しいけどね、最後は王子様が迎えに来て幸せになるんだよ。だから莉央、オレが王子様になって莉央を迎えに来るよ。絶対、約束する。だから、待ってて」
再び暗闇に落とされたと思っていた私に、光が差し込んだ気がしたのを覚えている。
「あおくん、ちょっとまってて!」
私は家に戻り、宝箱を開けてある物を取り出すとあおくんの元へ戻った。
「これ、りおの宝物。あおくんにあげる。死んじゃったお母さんが私に残してくれたものなの。元気になるパワーをくれるんだって」
「そんな大事なものいいの?莉央が持ってた方がいいんじゃない?」
「いいの。りおにはこの絵本があるから。それはあおくんにあげる。だから、ぜったい王子様になってりおのこと迎えに来て」
そう言って私が渡したのは、青い雫のモチーフがついたネックレス。
「うん、わかった。ありがとう。綺麗な青色!オレの名前と一緒だから青って好きなんだっ。涙みたいな形してるね。ハハッ、泣き虫だった莉央をいつも思い出しそう。絶対迎えに来るから、泣かずに待っててなっ」
「うん!」
会えなくなるのは悲しかったけど、約束が嬉しくて笑ってバイバイできたんだ。