シンデレラ・ウェディング

ウェディングドレス



それから1ヶ月が経ち、今日は6月10日。
私の誕生日だ。


特になにもないけれど、鏑木さんだけが毎年おめでとうございますと祝ってくれる。今朝も朝ご飯を運んで来てくれた時に言ってくれた。それだけで十分だった。


午前11時になろうとしているところ、やけに下の階が騒がしくて、階段を降りリビングをそっと覗いた。


広いリビングに、存在感を放つオフホワイトの大きな箱が置かれていて、ブルーのリボンが十字に掛けられていた。


お母さんは片手を口に当て箱を見つめている。お姉ちゃんは、嬉しそうにキャッキャとその場で飛び跳ねていた。


「こんにちはーお邪魔します」


その時、玄関の扉が開き充さんが入ってきた。


充さんは私には見向きもせず、リビングへと入って行く。


「あ、来た!充くん!これ何!?すごいよ!わざわざ会社から送ってくれたの?開けていい?」


興奮気味で充さんの腕を掴むお姉ちゃん。


「え・・・?」


「もうっ、とぼけないでいいからっ!ブルーティアーズってここに書いてあるよ!開けるね!」


充さんは何のことだかわからないと言った様子。


お姉ちゃんはブルーの大きなリボンに手を掛け解いていく。


大きな蓋を開けると中身は・・・・・・


純白のドレスだった。

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