大好き
今日は日曜日だ。多くの人が仕事が休みで、さらに今日は晴天で温かいため、絶好のお出かけ日和だと天気予報で言われていた。そのためか、家の外からは近所の小学生が親と公園で遊ぶ楽しげな声が聞こえてくる。

そんな中、私、白羽詩(しろはねうた)の家はどこか暗い。リビングには私とお父さん、そしてお母さんがいるものの、ジッとある場所を見ていた。

「ハナ……」

私は名前を呼ぶ。リビングに置かれた犬用のベッドの上には、白髪混じりのゴールデン・レトリバーが横になっている。私の大切な家族の一人であるハナだ。その呼吸は時間が経つにつれてゆっくりになり、体に力も入らなくなっている。もう別れの時が近いのだと、私も、お父さんも、お母さんも、涙が止まらなかった。

「ねえハナ、覚えてる?初めてこの家に来た時のこと。私はずっと覚えてるよ」

私はぼやける視界の中、ハナに話しかける。ハナが少しでも安心できるよう、無理に笑顔を作った。
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