大好き
色んなものにびっくりしちゃう臆病な子だったけど、私もお父さんたちも知ってるよ。ハナが優しいってこと。

「ハナ、私が体調悪かった時にずっとそばにいてくれたよね。ハナがそばにいてくれたから、寂しくなかったよ。心細くなかった。私が泣いていた時も、ずっと泣き止むまでそばにいて、涙を舐めてくれたよね」

家に来たばかりの頃は散歩の時、好きなところへ私をグイグイ引っ張っていたけど、いつの間にか私の隣に並んでゆっくり歩いてくれるようになった。ブラッシングやシャンプーの時に大人しくしてくれたり、撫でるとお腹を見せてくれたりするようになった。

「ハナと初めて行った旅行、すごく楽しかったな。長野に行ったこと覚えてる?広いドッグランでいっぱい遊んだね。私の食べていたソフトクリームを横から強奪したね。ソフトクリームおいしかった?いきなり食べられてびっくりしたんだよ」

お父さんとお母さんの泣く声がさらに大きくなる。私の話しかける声も震えていた。お別れがこんなにも悲しいなんて、一度も考えたことなかった。
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