大好き
小さい頃、私は悪い子だったね。詩ちゃんのぬいぐるみや靴をボロボロにしたり、散歩中にグイグイ詩ちゃんを引っ張ってしまったり、脱走したり、詩ちゃんにいっぱい怒られたね。ごめんね。

でも詩ちゃんは、私のことを一回も叩かなかった。どんなに怒っても、ちゃんと最後は仲直りしてくれた。いつも、私に笑ってくれた。こんな私を大切にして、「家族」って呼んでくれた。

優しくブラッシングやシャンプーをしてくれて気持ちよかったこと、雷が怖くて詩ちゃんのベッドに潜り込んだこと、旅行したこと、全部覚えてるよ。

詩ちゃんが笑ってくれることが嬉しくて、詩ちゃんが泣いていたりすると悲しい。笑っていてほしくて、でも言葉が通じないから、ただそばにいるしかできなかった。でも詩ちゃんはいつも「ありがとう」って元気になった後、言ってくれたよね。だから、私は詩ちゃんのためにできることを頑張ろうって思えたんだ。

言葉が通じないし、詩ちゃんみたいに二つの足で歩けないから、できることはほとんどなかったけど、詩ちゃんのそばにいれて毎日が奇跡みたいに楽しかった。
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