君にありがとう【真人】

⒊夜空に咲いた花火の日





「そろそろ上がるね」



 今日のために下調べをしておいた、花火がよく見える場所。

 人通りも少なくて、2人きりで花火を見ることができる。



「そうですね!」



 さっきまであんなに恥ずかしそうにしていたのに、花火で目をキラキラさせている彼女。

 あんまりにも無邪気だから、どうしても口元が緩んでしまう。



「ねぇ、詩ちゃん」

「なんですか?」



 不思議そうに首を傾げる。

 そんな姿が可愛い。



「僕さ」



 ゆっくりと、彼女の綺麗な唇に口付けをする。



「詩ちゃんの、彼氏になれて嬉しいよ」



 その瞬間、花火が打ち上がった。

 けど、お互いそれどころではない。




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