君にありがとう【真人】
心臓がバクバクと動いて、耳も熱い。
詩ちゃんも、顔をりんご飴のように真っ赤にしている。
しばらく、お互いの間に沈黙が走る。
「あ、あの!」
先に沈黙を破ったのは、詩ちゃんの方だった。
ちょっと申し訳ない。
キスしたこと、謝ろう……。
「ご、ごめんね。詩ちゃ……」
僕の言葉は、途中でかき消された。
それもそのはず。
僕の口は、彼女によって塞がれたのだから。
驚きすぎて、頭が真っ白。体も動かない。
離れても、まだ物事が整理されておらず、なにがなんだか分かっていない。
「う、詩ちゃ……」
「あたしは!」
またもや詩ちゃんに言葉をかき消された。