月がてらす道
それに、可愛いと思ったのだ。みづほの仕草を、ここに至るまでに保ってきたに違いない勇気を。
少しだけ体を離し、みづほの顔を上向ける。重ねた唇もまた、細かく震えていて──思いがけない甘さを感じた。ただのキスを、一度目からこんなふうに感じたことは、なかったと思う。
もっと味わいたくなって、舌を差し入れる。驚いて反射的に引こうとするみづほを再び引き寄せて、先ほどよりも力を込めて抱きしめる。
みづほが体をよろめかせて、しがみついてきた。足の力が抜けそうになっているらしかった。引きずるように彼女を運び、ベッドに倒れ込んだ。
ふわ、と尚隆を受け止めたのはベッドのクッションと、みづほの細い体。抱きしめてわかったが、彼女は見た目より凹凸がはっきりしたスタイルをしている。直に触れてみると、出るところは出て締まるところは締まっているのが、さらによくわかる。
形の良い胸の柔らかさも。
「…………っ」
触れた手に軽く力を込めるたび、みづほは歯を食いしばって声を抑える。緊張で固くなった体の、弾むような反応に、じわじわと自分の奥が刺激されてゆくのを感じた。静かだけど確実に燃え広がっていく、熾火のような熱に。
服の上からでもこうだったら、直接触ったらどんなふうに反応するのだろう。それを早く見たいと思った。
ブラウスの裾をスカートのベルトから引っぱり出し、手を一息に差し入れる。はっ、とみづほが驚きの息を漏らした。
驚いたのはこちらもだった。肌が、びっくりするほど手触りが良くて、綺麗だ。もっと触りたいと思う本能に任せて、手をあちこちに滑らせる。
「っ、……は、っ……はあっ」
みづほの息遣いに、徐々に声が混じってきた。我慢と、気持ち良さの間のような、男心を喚起される響き。この女は自分が初めての男なんだ、その思いが急激に強まった。もっと感じさせたいという欲望と、痛くないようにしてやらなければという戒めがせめぎ合う。
愛撫しながら、みづほの服はほとんど脱がせてしまい、いつしかショーツだけになっていた。自分の服を全部脱ぎ捨ててから、最後の1枚をはぎ取った。
その場所が濡れていることを、直接確かめる。
「ひっ」
おびえた声。当然だが誰にも触られたことがないはずの、その場所。どこよりも柔らかく、そして熱い。触るたびに中から、とろとろとこぼれてくる。
舐めたい。