俺様王太子に拾われた崖っぷち令嬢、お飾り側妃になる…はずが溺愛されてます!?
◆ 第一章 この度、お飾りの妃に任命されました
◆ 第一章 この度、お飾りの妃に任命されました
頭に乗せられたのはダイヤのちりばめられた白金のティアラ、首元にはドロップ型にカットされた大粒のダイヤが飾られ、耳にも同じくドロップ型にカットされたダイヤが輝いている。
最上級のシルクを使った薄紫色のドレスは幾重にもドレープが重なる豪奢なもので、裾や袖には美しいレースがふんだんに使われていた。
「あの、殿下……。これはいくらなんでもやり過ぎでは?」
(今この瞬間、世界で一番豪華な衣裳を纏っているのはわたくしなのでは!?)
自意識過剰でもなんでもなく、ベアトリスはそう思った。
「何を言う。愛する妃をお披露目だ。ベアティは愛らしいから、いくらでも着飾らせていたいんだ」
隣に立つセルベス国の王太子──アルフレッドはベアトリスの着ているドレスと同じ薄紫色の瞳でこちらを見つめ、甘く蕩けるような笑みを浮かべる。そして、周囲の目も憚らずにベアトリスに顔を寄せた。
「とても綺麗だ」
耳元に吹き込むように囁かれ、ベアトリスの顔は耳まで紅潮する。
「……っ、ありがとうございます」
そんな風に甘い態度を取られると、どぎまぎしてしまう。ベアトリスは言葉に詰まりながらも、お礼を言う。