俺様王太子に拾われた崖っぷち令嬢、お飾り側妃になる…はずが溺愛されてます!?
「ここまでする必要、あります?」
「必要あるからやっているんだ。異論は認めない」
「そうでございますか」
さっきと同じ台詞が口から漏れる。
相変わらずの俺様だ。
ムッとしたようなベアトリスに気付いたのか、アルフレッドはベアトリスを見つめて甘く微笑んだ。
「俺が贈った物で着飾ったベアティを見せてくれ」
「まあ、そんな……。陛下、嬉しいです」
ベアトリスはおほほっと笑い、口元を手で押さえる。
「このドレス代、契約妃が終わったときに請求されたりしないわよね?」
「安心しろ。必要経費だ」
心の中で呟いたつもりが、どうやら口から漏れていたようだ。アルフレッドが耳元で囁く。
こそこそと話す様子が仲睦まじく見えるのか、周囲にいる侍女達の顔がほんのりと赤らむ。今、金勘定の話をしていて全く色恋の話はしていないのだが。
とにもかくにも、請求されないのなら安心した。
三時間ほどドレス選びを行ってから錦鷹団の事務所に戻った頃には、ベアトリスはすっかり疲れ切っていた。