俺様王太子に拾われた崖っぷち令嬢、お飾り側妃になる…はずが溺愛されてます!?
「照れているのか? 俺のベアティは本当に可愛いな」
アルフレッドは赤く色づくベアトリスの頬に手を添えると、その肌を愛しげに親指でなぞる。唇のすぐ横
の辺り、ぎりぎり頬といえる部分に柔らかいものが触れた。アルフレッドがキスをしたのだ。
周囲に立つ侍女達が「まぁ」と色めき立つ。皆一様に頬を赤らめていた。
「さあ、行こうか。ベアティ」
「はい、殿下」
優しく手を取られ、ベアトリスは立ち上がる。
「行ってらっしゃいませ」
満面の笑みを浮かべた侍女達が一斉に頭を下げ、ふたりを見送った。