俺様王太子に拾われた崖っぷち令嬢、お飾り側妃になる…はずが溺愛されてます!?

(ランスさん、相変わらず優しいなあ)

「では、お言葉に甘えて」

 ベアトリスはランスがエスコートのために差し出した手に、自分の手を重ねた。

 ベアトリスの希望で、ふたりはまず本屋に向かい、その後はぶらぶらと町歩きをする。

「あれ、美味しそう」
「食べてみますか?」

 道沿いで売られているカットフルーツに目を奪われたベアトリスに気付き、ランスがすかさず聞いてくる。

「いいのですか?」
「もちろん」

 ランスはその店の前で立ち止まる。硬貨と引き換えにカップに入ったブドウを受け取ると、それをベアトリスに手渡した。ベアトリスはおずおずとそれを一粒、口に入れる。

「美味しい……」
「それはよかったです」

 ランスはにこりと微笑む。

「せっかくなので、郊外にも足を伸ばしますか?」
「はい。是非!」
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