俺様王太子に拾われた崖っぷち令嬢、お飾り側妃になる…はずが溺愛されてます!?

「馬車?」

 そう聞いて、さっきの古びた馬車だと悟った。

「どこに手配した?」
「大通りのマガヌ広場です」
「マガヌ広場か。行くぞ!」

 アルフレッドはカインとサミュエルにそう命じると、すぐにその場を飛び出した。
 
 馬を走らせながらも、気持ちは急く。

「サミュエル。全王都騎士団に、馬車を探すように命じろ」
「はい!」

 隣を馬車で走るサミュエルが頷く。すぐに錦鷹団に残る部下に、魔道具で連絡を取り始めた。
 目的のマガヌ大通りには多くの人がいたが、探していた馬車は見当たらなかった。

「くそっ、どこだ」

 アルフレッドは周囲を見回す。そのとき、サミュエルがアルフレッドに近づく。

「殿下。北街道を郊外に走る、それらしき馬車の目撃情報がありました」
「北街道か。行くぞ」
「はい」

 アルフレッドは、すぐに馬を操り北へと向かう。一分一秒が、永遠のように感じた。


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