俺様王太子に拾われた崖っぷち令嬢、お飾り側妃になる…はずが溺愛されてます!?



 離宮から指定の庭園にあるガゼボまでは十分ほどだ。

(さすがに、もういないか)

 ガゼボには人影がなさそうに見えた。ベアトリスはガゼボまで行き確認したが、やはり人はいない。
 ふと見上げると、空が茜色に染まり始めていた。

(綺麗……)

 ベアトリスは空を見上げ、目を細める。
 ブルーノには会えなかったけれど、散歩に来たと思えば悪くない。夕焼けに見惚れていると、かさっと背後から足音がした。

「ベアトリス」
「え?」

 ベアトリスは振り返る。

「ブルーノ様」

 そこには、元婚約者のブルーノがいた。
 ローラのことで心労がたたったのだろうか。その目元にはくまが見える。

「突然、どうされたのですか?」
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