俺様王太子に拾われた崖っぷち令嬢、お飾り側妃になる…はずが溺愛されてます!?

 ベアトリスは尋ねる。
 突然ブルーノから手紙を貰ってここまで来たものの、何の話なのかさっぱり予想が付かない。

「あん……ま……い」
「え?」

 ブルーノの声が小さく、よく聞き取れなかった。
 ベアトリスは耳元に手を当て、聞き返す。

「あんなことをして、済まなかった」
「あんなこと?」
「王宮舞踏会で──」

 ブルーノはそれだけ言うと、唇を噛みしめて拳を握る。

「ローラが言っていることを真に受けてしまって──。今回の件で、父上にひどく怒られた。事実をしっかり確認せずに、とんでもないことをしでかしたと」

 ふたりの間に沈黙が流れる。
 その空気を破ったのは、ベアトリスのほうだった。

「今更ですわ」
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