俺様王太子に拾われた崖っぷち令嬢、お飾り側妃になる…はずが溺愛されてます!?
ベアトリスという囮に引っかかったふたりの男が逮捕された。しかし、ベアトリスの活躍むなしく、残念ながら男達の所持品からも自宅からも、違法薬物は出てこなかったという。
「うー、悔しい。絶対に捕まえてやろうと思ったのに!」
返す返すも悔しくてならない。これでは、怖い思いし損である。
「そう怒るな。お前が囮になったのも無駄にはならなそうだ」
「え? どういうことですか?」
ベアトリスは首を傾げる。
違法薬物が一切出てこなかったという話は今日の日中に聞いていた。ということは、囮捜査は失敗ではないのだろうか。
「連中の自宅から出てきたノートに、不審な情報があった。恐らく、人身販売だ」
「人身販売?」
ベアトリスは眉根を寄せる。
奴隷目的の人身販売であれば、ベアトリスがここで働き始めた直後に大規模な摘発があったはずだ。
「以前起きた、スリーコム子爵が関わっていた事件とは別組織ですか? 」
「ああ、前回とは違う組織だな。スリーコム子爵の事件は国内の孤児が主なターゲットだったが、今回は外国人を連れてきている。問題が大きくなる前に解決したほうがいい」
「外国人……。もしかして、外国から女性を連れてきてその女性に違法薬物を与えて?」