俺様王太子に拾われた崖っぷち令嬢、お飾り側妃になる…はずが溺愛されてます!?

 ベアトリスは即座にことの重大性に気付き、手をぎゅっと握った。
 国内の子供などを奴隷として売買するのはもちろん違法だが、外国人となると余計に質が悪い。きちんと対処して対策しないと、セルベス国がその国の国民を不当に扱っているとして国際問題に発展しかねないからだ。

「既にカイルに事件解決に向けて動くように指示済だ。ベアトリスも手伝ってやってくれ」
「わかりました」

 ベアトリスはしっかりと頷く。
 外国とは、どこの国だろう?
 一体誰が? 

 次々と疑問が湧き起こる。
 一方のアルフレッドは、ベアトリスの髪を弄び、指先で髪を梳く。

「カイルは普段は寡黙だが、とても有能だ。ベアトリスの力になってくれるだろう。……魔導具のことになると少し人が変わるが」
「魔導具?」
「ああ。今現在俺が知る限り、セルベス国で最も魔導具について詳しいのはカイルだろう」
「へえ……」

 魔導具とは、魔法の力を与えた特別な道具のことだ。古い文献にはいくつか載っているが、一般市民が日常生活をおくっていても実際に目にすることはまずない。魔力を吸収して不思議な作用をおこす道具全般を指し、ベアトリスも初めて見たのがこの離宮の入口に設置された扉だった。
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