俺様王太子に拾われた崖っぷち令嬢、お飾り側妃になる…はずが溺愛されてます!?
アルフレッドはジトッと見るベアトリスの視線をものともしない涼しい表情のまま、ポケットから何かを取り出した。それを、ベアトリスの指に素早く嵌める。
「え?」
ベアトリスは驚いた。アルフレッドがようやく握る力を緩めたので、急いで左手を引く。
「これは、指輪?」
薬指には見慣れない指輪が嵌まっていた。白金の台座の中央に大粒の宝石が乗った指輪は、見ただけでそれなりの値段がするものだとわかる。宝石はピンク色で、部屋の明かりを反射して輝いていた。
「なんですか、これ?」
「愛しい妃への贈り物だ」
「わたくしはお飾りの側妃でしょう? こんな高価なもの、いただけません」
「そう言うな。お前に贈ると言って準備させた」
ベアトリスはぐっと言葉に詰まる。
アルフレッドが『ベアトリスに贈る』と言って準備させたものをベアトリスが受け取らなければ、彼に恥を掻かせることになる。
「いつもつけておけよ」
アルフレッドはにっと笑ってそう言うと、立ち上がる。
「では、元気そうな顔が見られたところで俺は戻る。今日もゆっくり休め」
ぽんっと頭に手が置かれ、くしゃりと撫でられる。
「あ……」