俺様王太子に拾われた崖っぷち令嬢、お飾り側妃になる…はずが溺愛されてます!?
立ち去ろうとしたアルフレッドを見つめ、ベアトリスは片手を伸ばしかける。アルフレッドはすぐにベアトリスの様子に気づき、こちらを振り返った。
「どうした?」
「あの……、ありがとうございます」
アルフレッドがふっと表情を緩める。
「ああ、どういたしまして。熱い視線で見つめるから、今夜はここで過ごしてほしいと可愛くおねだりしてくれるのかと思えば」
「しません。先ほどのわたくしの話、聞いていました?」
ベアトリスは目を据わらせる。
「俺以外の男には抱かれたくないという話だろう?」
「ば、バカじゃないの⁉」
両頬に熱が集まり、顔が赤くなる。
思わず横にあったクッションをアルフレッドに投げつけると、いとも簡単にキャッチされてしまった。アルフレッドは肩を揺らして大笑いしつつ、そのクッションをベアトリスの手元に戻す。
「では、またな」
アルフレッドは軽く片手を上げ、部屋を出て行く。
パタンと閉った扉を、ベアトリスは恨めしげに見つめた。