翔ちゃんは、幽霊なんて信じな、い?
「翔ちゃん!」

階段を上った先の4階であるかもしれないそこは、ほぼ3階と同じ景色だった。

「……お前、来たのか」

 翔ちゃんは階段の踊り場に立っていた。
 移動してなかったあたり、一応待っていてくれたらしい。

「そりゃ来るよ! 翔ちゃん一人ぼっちに出来ないもん!」

翔ちゃんが驚いた様子で私を見る。その反応から自分がちょっと恥ずかしい事を言ってしまったことに気づいた。

「……い、いても、役に立たないかもしれないけど……」

 しどろもどろ弁解すると翔ちゃんが、ん、と右肘をくいっと上げて私の方を見た。

「……肘? 別に何もついてないよ?」

 ポカンとする私に翔ちゃんは深いため息を吐いた。

「……わかんないなら良い、行くぞ」

「待って! 今何か凄い貴重なことを逃した気がする!」



階段の踊り場から廊下に移動し、教室札を確認する。

「教室札が全部4-4になってる……!」

「お前にもそう見えるって事は、見間違いじゃないみたいだな」

「翔ちゃん冷静だね?!」

「一番奥は……見えないな。とりあえず端まで行ってみるか」

 自分達しかいないような静寂の中に、コツコツと翔ちゃんと私の足音だけが響きわたる。

「ここが幻の4階なら、今私達お化けの学校にいるって事だよね……?」

「ハッ、お化けの学校ねぇ」

 鼻で笑った!!

「……なんだあれ?」

 翔ちゃんが廊下の行き止まりを見つめる。壁の前に靴が一足落ちていた。サイズ的に女物だ。

「もしかしてこれ女子生徒の……?!」

「どうだろうな」

「とりあえず置いとこ! なんか怖いし!それより、行き止まりまで来たけど全部4-4だったね?」

そう言って靴から顔を上げる。

「あれ? 壁がなくなってる……」

行き止まりだと思ってた廊下は何故か先に続いている。行き止まりはまだ先だ。

「翔ちゃん……私、頭?目?記憶?がおかしくなったかも……」

「それは元からだろ」

「ひどい!ってそうじゃなくて私達確かに真っ直ぐ、行き止まりまで歩いてたよね?!」

「ああ」

「でも、これ、どうなってるの?!ど、どーしよ翔ちゃん?!」

「落ち着けって。とりあえず一度進むのやめて戻るか」
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