翔ちゃんは、幽霊なんて信じな、い?

タンっ!! と、翔次郎の大きめの着地音が辺りに響く。

「っと、あっぶね……」

 飛び出して抜けた先は階段の頂上だった。足が滑りそうになるのをなんとか抑えてバランスを取りながら階段を降りる。

「階段踏み外すところだった……」

誰とも無しに呟く。辺りはいつもの見慣れた校舎の様に見える。先程いたであろう4階と内装こそ一緒だが、雰囲気が幾分緊迫してないように感じた。

……どうやら元の所に戻って来れたようだ。

「やっぱ階段が隠されてただけだったか。そうだ……」

 真名を思い出し、合図しようと紐を引っ張ろうとしたその時だった。

「……ゃーん!」

 何か、どこから聞き覚えのある声がする。が音の方向がわからない。

「……ちゃんーー!!」

「しょうちぁああーん!!!!!」

声が上から降って来る。

「真名?! うわっ?!!」



ドシーン!! という効果音がつきそうなくらい派手に落ちた感覚がしたが、それどころではない。

「ッ翔ちゃん!! 翔ちゃん何処?! もう何で勝手に行っちゃうの!!」

 ひとしきり叫んだ所で今更ながら自分のいる場所に気づく。見慣れた廊下に階段。静かな教室。

「よ、良かった!戻ってきたんだ……!ってそうだ翔ちゃん探さなきゃ! どうしよう怪我してたら……!」

「……お前の下で現在進行形でダメージ受けてるよ、早くどけ……」

飛び込んだ先、落ちたのはまさかの翔ちゃんだったらしい。慌ててどく。

「ごめん!!翔ちゃんしっかりしてー!! でも無事で良かったー!!」

「無事かは微妙だけどな……」
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