翔ちゃんは、幽霊なんて信じな、い?
「どうした?!」
走って駆けつけてくれたらしい翔ちゃんの腕に縋る。
「し翔ちゃん!! か、鏡にお婆さんのお、お化けが出た!!」
翔ちゃんが不思議そうに私の後ろを見る。
恐る恐る私も見てみる。
しかしそこにいたのは、
「お、女の子!? え、な、なんで?!」
「お婆さんのお化けって私のこと? お姉ちゃんひどい……」
現れた女の子がシクシクと泣き始める。
(え、もしかしてお化けじゃない……? いやでもこの時間帯に旧校舎にいる子どもって怪しすぎない?!)
「うわーん!」
「ご、ごめんね?! で、でもなんでこんな所にいたの……?!」
本格的に泣き始めた女の子に平謝りするが、女の子はヒートアップする一方だ。
(だ、だめだ私じゃ!)
「し、翔ちゃーん」
泣きつくとやれやれという顔をして、翔ちゃんは女の子の目線に合わせて腰を下ろす。
「……な、大丈夫?」
「……お兄ちゃん、だれ?」
「この学校の生徒だよ、こいつも。怪しい奴じゃない」
コイツと言われて女の子が私を見た。
「あの意地悪なお姉ちゃんも?」
「意地悪?!」
「ああ、悪いやつではない」
「翔ちゃん……!」
思いがけない庇う言葉に感動すると、翔ちゃんがフッと笑う。
「ま、別に良いやつでもないけどな」
「翔ちゃん?!」
上げといて下げるとかひどいな! でもそんな所も可愛いので許す!
「……ねえ、お兄ちゃんお姉ちゃん。私迷子なの……お母さんが迎えに来てくれるまで一緒にいてくれる?」
女の子が試す様な視線で私と翔ちゃんを見る。
私はドキリとした。
だってもしかしてお化けだったりしたら、素直に返事したらよくないんじゃないか、とか。
こんな時間にいる子どもって……と頭に浮かんですぐには返事できなかったのだ。
流石に子どもの前でこんな態度はどうだろうと思うが、ついオタオタしてしまう。
しかし翔ちゃんは違った。