翔ちゃんは、幽霊なんて信じな、い?
「良いよ、俺で良ければ」

 翔ちゃんが笑顔でハッキリ答える。

 私は狼狽えた自分が恥ずかしくなるのと同時に、翔ちゃんの優しさに感動して自分まで誇らしげな気分になった。

「翔ちゃん……う、うん! そうだよね! まかせて! 私達が一緒にいてあげるよ!」

「お姉ちゃんはやっぱ良いや」

「えっ、ひどくない?!」

「うっそー! さっきのお返しだよー!」

 女の子がべーと舌を突き出して、翔ちゃんの背中に隠れる。

(にくらしっ!)

「ね、お兄ちゃん! 私お母さんが来るまで学校見たい!」

「……わかった、じゃあ一緒に回るか」

「うん! あ、お兄ちゃんおんぶ!」

「はいはい」

 翔ちゃんの背に女の子がぴょいとおぶさる。

(翔ちゃんにおんぶ……良いな)

羨ましさから思わず見つめると、女の子がこちらを振り向く。そして得意気に笑った。

(かっ可愛くないッ!! いやいやッ子ども相手に大人気ないぞ私。落ち着け!)

気を落ち着ける為に深呼吸をスーハーする。

「何してんだよ? ほら行くぞ」

「お姉ちゃんだけおいてっちゃうよー?」

「あ、今行きますったら!」





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