翔ちゃんは、幽霊なんて信じな、い?
「……と、まあそんな怪談らしい」
パソコン室に着き、翔ちゃんがスマホにメモしといたらしい怪談を読み上げてくれる。
「へー随分フワフワした話だね? 素晴らしいものって何だろう?」
「そりゃお前、男が見て素晴らしい物って言ったら相場が決まって……」
「! ダメーっ! 翔ちゃんは! 王子様なんだからそんな変態発言してはいけません!!」
卑猥ワードの予感を感じとり、思わず翔ちゃんの口を手で塞ぐ。めちゃくちゃうざったそうに睨まれた。
「まだ何も言ってねーよ」
「はっ、唇触っちゃった! 今日はもう手洗うのよそう……!」
「…………今の所、電源がついてるパソコンはないな」
「あー! 翔ちゃん無視しないでー!」
翔ちゃんが、スマホを懐中電灯代わりに照らしながら一台一台パソコンを確認していく。
スタスタと歩いて行く翔ちゃんの腕をギュッと組んだら凄く嫌そうな顔をされた。
「……暑い。ひっつくな」
「いーじゃんいーじゃん、後でアイス奢ったげるから!」
はぁーっと翔ちゃんが深いため息をつく。
翔ちゃんはなんだかんだ言って優しいので、無理矢理剥がすことはしないのだ。(剥がすのが面倒くさいという説もある)