翔ちゃんは、幽霊なんて信じな、い?
そう言う翔ちゃんの雰囲気が違う気がした。
顔色も何だか白いを通り越して青白くて、なんだか気が気じゃない。
「翔ちゃん、本当はお願いことあるんじゃない?」
翔ちゃんは黙ってる。
「翔ちゃんのお願い事ってなに?両親に、お兄ちゃんより愛されること?」
「……お前には関係ない」
「関係なくないよ、教えてよ。そうしたら私……力になる! こんな事に頼らなくても……」
「力に? お前が?……ハッ、笑わせんなよ
」
聞いた事のないくらい冷たい声色だった。
言葉はいつもの軽口とそう違わないのに、酷く固くて、人を拒絶するような口振りに何も言い返せない。
「お前さ、よく冗談で俺のこと褒めたり好きっていうけど、別に俺のこと本当に好きな訳じゃないだろ?」
「! な、なんで、そんな事……」
翔ちゃんを好きだという気持ちに偽りはない。
だけど、まだ私の中でそれを本気で伝えるだけの覚悟がないせいで、上手く答えることが出来ないでいる。
「……俺のこと本気で好きだったら、俺が話したくないことを、無理に知ろうなんてそんな驕った事しないはずだ。お前はそうやって他のやつが知らない事を知って優越感に浸りたいだけじゃないのか?」
「! ち、違う、私は!」
「違わないだろ。もうほっとけよ、鬱陶しい……ちょっと家族の事話したくらいで自惚れんな」
翔ちゃんが私を見ないで吐き捨てるように言う。
「……ひどい! 何でそこまで言うの?! もう良いよ! 翔ちゃんなんか、そうやって最初から諦めて、誰にも心開かず、ずっと1人で生きてけば良いんだ!」
何を言っても伝わらないもどかしさに涙が溢れそうになる。
それを堪えて私は教室の前を後にした。