翔ちゃんは、幽霊なんて信じな、い?
あなたに何がわかるんだと、言いかけた時だった。
『手出して』
翔次郎君がまるで王子様の如く、私に手を差し伸べる。
様になる姿にさっきの言葉なんか忘れて手をとりそうになるのを寸での所で、我に帰った。
『な、なんで?! 馬鹿にする気でしょ、いやだ!』
『ガキかよ。いーから、ホラ』
ぎゅっっと手のひらを握られる。いわゆる恋人繋ぎだった。
『あ、ああの、手なんでっつなっ……』
『つな? あ、本当だ。結構しめってんね』
『ッ!! だ、だから言ったのに! だから言ったのにーーー!!!」
掴まれた手をブンブンと振るが、翔次郎君は一向に離さない。
それどころかそんな私を見てフッとまたしても鼻で笑った。
『別に気にしねーよ。今日から俺がお前のペアね』
『な、何で?!』
『昼寝してたらあぶれた。利害の一致ってやつ。お前本当は出たいんだろ?』
『……そんな事言ってない』
『行動が言ってんだよ。本当に出たくないなら、手繋ぐための準備しないし出なくて良いですじゃなくて出たくないですって言うんじゃね?』
図星だった。
頭の中を見透かされて、自分の事がわかってくれたようで、何だか嬉しいような恥ずかしいような変な気分だった。
『でも、あなたとなら、いくらでも他に組みたいって人がいるんじゃ……』
『いーの。お前ってなんか惨めで可哀想で、可愛いくて……まるで俺みたい』
『……惨めで可哀想って、あなたの何処が?』