翔ちゃんは、幽霊なんて信じな、い?
「でも意外だったな。翔ちゃんが三不思議信じるなんて」
「別に信じてはねーよ。で、そういうお前はどうなの?」
「私は信じてるよ! 小学校の時に窓に映った顔の心霊写真があったんだけどね、その顔が私に似てるって言われてすごいか怖かったんだ……」
「お前、それはなんていうか……」
何故か翔ちゃんが哀れみを込めた目で見つめられる。
「あ、ところでさ翔ちゃんのお願い事って何?」
「別にない」
「嘘だー! なんで隠すの?! そんなんじゃお願いする時困っちゃうよ!」
「困んねーよ。そもそも願いが叶うとか本気で思ってる訳じゃねーし」
「え、じゃあ何で来たの?」
「……俺は、幽霊とかお化けとか、そういうの信じてる奴が嫌いなんだよ。だから俺自身で試して、何も出ないって証明してやるかって思った訳」
ま、暇つぶしだよ、と翔ちゃんが話を切り上げる。どうやら詳しくは話す気はないらしい。私もあえてそれ以上深追いする事はしなかった。
こうして一緒に怪談を回れると言う事実は大変好都合だし、変に深追いしてやっぱ辞めたと心変わりされたら困るし。
それにしても、お化けがいない証明とはどうやってするもんなんだろうか。
今日出ない場合?とかもあるだろうし、何時まで粘るつもりなんだろう。(正直翔ちゃんと朝までいれるの本望だから、いつまででも粘ってもらって全然構わないんだけども)
むしろ出るの引っ張ってほしいなと、思ってたら、翔ちゃんは何故かおもむろにスマホのライトを消した。
「……やっぱ所詮は怪談だな。何も出ねえわ。帰るぞ」
「ちょ、言った側から諦めるの早くない?! もうちょっと粘ろうよ!!!」
「お前、お化け怖いとか言ってた割に何でそんな意欲的な訳?」
「……だって確かにお化け怖いけど、翔ちゃんとワンチャン懇ろになれるかもと思って......」
「懇ろって……お前いくつ?」
「それにこんなに早く切り上げたら怖がって逃げたって思われちゃうよ?!」
「誰に思われんだよ。でも確かに何もせず帰るってのもなんだな……あと少しだけ粘ってから帰るか」
「やったー! 翔ちゃんありがとう!」