翔ちゃんは、幽霊なんて信じな、い?
「翔ちゃん!!」
教室に戻ると、積まれてた机と椅子が散乱してるのが目に飛び込んできた。
なんでこんなに机と椅子がと思ったが、恐らく物置になってたのを無理矢理開けたから崩れたんだろう。
「翔ちゃん!! どこ?!」
教室の中は机と椅子だけでなく、本棚やスピーカーや水槽など、使われていない物達が所狭しと積まれている。
「翔ちゃん!いたら返事して!!」
「……真名?」
苦しそうな声と共に、柱の影に倒れていた翔ちゃんを見つける。翔ちゃんは腕を押さえていた。
「大丈夫?!何かぶつかったの?!」
「お前どうして戻って……」
「大きな音がして心配だったから戻ってきたんだよ!! 何があったの? カミサマ関連?!」
「……ちげーよ、俺が入る時に無理矢理開けたから色々周りにあるもん倒れてきて、みっともなくコケただけ」
「そ、そうだったんだ。よ、良かったー」
翔ちゃんは本当にひどい怪我はないみたいで、安堵のあまりに涙が出そうになる。
「何泣きそうになってんだよ。これくらいで大袈裟だな」
「泣く決まってるよ!! 私翔ちゃんがいないと生きてけないもん!!!」
「……そうだ翔ちゃん、酷いこと言ってゴメンね?翔ちゃんはきっと生涯色んな人から愛されて幸せに過ごせるよ絶対。私が保証する」
「……いや。俺も言い過ぎた。悪かったな。お前は心配してくれたのに」
「翔ちゃん……」
「……なんだよこの空気恥ずいな」
翔ちゃんが照れくさそうに首を掻く。その姿が本当に恥ずかしそうで、思わず笑ってしまう。
もうあの尖るような冷たい空気は翔ちゃんにはなかった。
(良かった……)
「ね、早くここでよ? 色々崩れてて、いるだけで危ないよ」
翔ちゃんに手を貸そうとした時だった。
上に積んであった机が翔ちゃんの頭に落ちてきそうになる。
反射的に身体が動いて、翔ちゃんを突き飛ばす。
「真名?!!」
頭に何か強い衝撃と、何か暖かい液体が流れる感覚がして、私は意識を手放した。