翔ちゃんは、幽霊なんて信じな、い?

「ほ、本当に出ちゃった……! ど、どうしよう……」

 とりあえず翔ちゃんを起こそう!と思った所で、頭に悪い考えが浮かぶ。

 コレを使って翔ちゃんを落とす方法を調べたら、両思いになれるのでは……?

 そうだ。そもそも翔ちゃんは三不思議信じてないって言ってたし、別に私が検索しちゃっても構わないだろう。

「……うん! 問題なしなし!」

 一瞬、頭の中の良心の天使が何かを咎めた気がしたけど、恋する乙女の前にはそんな物は何の抑止力にもなりはしない。

 お化けパソコンの前に座り、ちょっと緊張しながらもキーワードを早速入力する。

「えーと"翔ちゃんの落とし方"っと」

 エンターキーを押そうとして指が止まる。

 そうだ、これは一回しか検索してくれないんだった。
 確実なキーワードで検索しなければならないとなると、何かこう、言葉足らずな気がする。
 翔ちゃんと入力して、このお化けパソコンは正しく認識するのだろうか。

「"日野翔次郎 落とし方"で良いかな?」

 ……いや、良くない。落とし方っていうと、意識を落とすとかそういう意味にも取れるし。

 カタカタカタッ

 入力……消す。

 カタカタカタカタカタカタッ

 …………消す。

 カタカタカタッカタカタカタッカタカタカタッカタカタカタッ!!!!

「ダメだー! ボキャ貧で良いワードが思いつかない! もっと国語勉強しとけば良かったー!!」

 ダンッ!! と思わず机に突っ伏した瞬間、エラー音のようなものがビービーと鳴る。
 どうやらキーボードをダーっと連打してしまったらしい。目の前の画面は真っ白から一面真っ黒になっていた。

「ど、どうしようエラー起こしちゃった?!」

 バックスペースを押したりマウスを押してみるが、反応は変わらない。それどころか画面の奥から、小さい……人間の手のひらみたいなのが、どんどん、大きく、なって……。

「え?」

 ガシッ。

「ッきゃーっ!!!」
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