翔ちゃんは、幽霊なんて信じな、い?

「ちゅー……」

言いながら翔ちゃんがギリギリと音がする勢いで私の頬をつねる。

「ひだだだっ!! ひょめんなはい〜! ひょうはんへふ!!」

 明らかに頬をつねる効果音じゃなかった……翔ちゃんの隠れドS! と心の中で悪態を吐くと、見透かしたように翔ちゃんが鼻で笑う。

「じゃ有言実行頑張れよ?」

 そう言って翔ちゃんがスタスタとその場を離れる。後ろを振り向けない故に何処へ向かったのかわからないけど、え、もしや呆れて帰った……?

「翔ちゃんの裏切り者ー!! ドS!! セクシー魔神!! えっと、あとは、い、イケメンー!!」

 その時だった。

 ブチンッ

「んぎゃっ?!!」

 音とともにぺっ! とガムの如く、パソコンの画面から勢いよく吐き出され、床にダイブする。

「いたたた……何か人間ロケットになった気分……ってあれ? パソコンから出れた?! というか抜けた?! やったー!」

 何が起きたかイマイチ理解出来ないでいると、翔ちゃんが呑気に戻って来た。

「お、思った通り」

「酷いよ翔ちゃん置いてくなんて! あとちょっとでパソコンの住人と化す所だったでしょ!」

「別に置いてってないって。ほれ」

 翔ちゃんが手に持ったコンセントを振る。

「言ってもパソコンだしな、電源断てばワンチャンなんとかなるかって思って抜いて来たんだよ」

「さすが翔ちゃん……!」

「はいはい。じゃ、帰んぞ。アイス奢ってくれんだろ?」

「あ、そーいうことは覚えてるんだね……」
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