君のためのウエディングドレス
 お母さんがカメラの準備している。
 その間、辺りの綺麗な花を眺めていた。

 お母さんのカメラの準備が出来たらしく、そこの中心に立つように指示された。私は白い紫陽花に囲まれる。

 写真を撮られるのはすごく緊張する。

 だけど、いつもとは違う自分の姿に何だか自信が持てて、何枚か撮られているうちに緊張はほぐれていった。

 桃李くんのお母さんはたまにそういう写真を撮るお仕事もしているらしい。こういうポーズして欲しいって分かりやすく指示してくれる。

「桃李も、写って?」
「えっ、俺も?」

 ぐいっとお母さんに押されて、桃李くんは私の隣に来た。

「なんか、俺らカップルみたいだな」
「う、うん」

 桃李くんの今の表情は、すごくはにかんだ笑顔。
 ちょっと頬も赤い気がする。

 こんな表情の桃李くん、見たことないかも。

「向かい合って、手を重ねてみて?」

 お母さんが指示する。

 桃李くんが手を出すと、私は上にそっと添える感じに手を置いた。

「こ、こんな感じか?」
「かな?」

 手と手が触れると、ドキドキして彼と目を合わせられなくなった。

「ふたり、見つめあってね」ってお母さんが言う。

 恥ずかしいけれど、勢いにまかせて見上げ、彼の目を見つめた。

 彼と目が合う。

 桃李くんは全部カッコイイけれど、特に目が綺麗でカッコイイって、昔から思ってる。

 至近距離で見つめると、心臓の音が早くなって、壊れてしまいそうな程に大きくなってくる。

 
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