君のためのウエディングドレス
「私は……」

 上手く言葉が出てこない。
 言いたいことは、はっきり決まっているのに。

 今も自分の気持ちを上手く人に伝えようとすればするほど、緊張して伝えられなくなる。心の中に言葉を閉じ込めちゃう。

「俺は優衣花と付き合いたい。返事が難しかったら、うなずくか首を横に振るだけでもいいよ」

 こんな時も桃李くんは、私が返事をしやすいように。
 私のことを気遣ってくれて……。


 伝えなきゃ――。
 伝えたい――。

 声が震えてもいい。
 声が裏返ってもいい。
 小さな声でもきっと大丈夫。

 桃李くんならきっと、ありのままの私を受け止めてくれるから。

「桃李くん、わ、私も桃李くんが好きでお付き合いしたい、です」

 声が震えて、裏返った。
 でも、やっと振り絞って言えた言葉。

「気持ちを言葉にして伝えてくれて、頑張ってくれてありがとう」

 桃李くんはそう言うと、優しく微笑んでくれた。


 


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