狼男な彼女
俯いた彼女の口が少し動いた。

薄闇へと溶けていく小さな声が聞き取れなかったので、肩近くにある小さな彼女の顔を覗き込む様にして優しく尋ねる。

「どうしたの?」

薄紅色に両頬を染め、上目使いで俺を見つめる彼女のあまりのかわいさに、思わず息を呑む。

「く、暗くて怖いから、手つないでもいい?」

言った瞬間、小さな爆発音が聞こえてきそうなほど一瞬で彼女の顔が真っ赤に染まる。

鈍い音をたてながら、俺の頭が一気に回転数を上げる。

いいんだよな。

大丈夫だよな。

男なら行くしかないだろ。

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