契約妻失格と言った俺様御曹司の溺愛が溢れて満たされました【憧れシンデレラシリーズ】
運転手はさほど驚いた様子もなく「かしこまりました」と頷いて、再び車を発進させる。
帰国してから動き回っていた和樹にとって、急な予定変更はさほど珍しいことでもない。
次に和樹は一ノ瀬の携帯を鳴らす。
しかし彼は出なかった。仕方なく今度は秘書室をコールした。電話口に出たのは黒柳だった。
『一ノ瀬さんなら、もう少ししたら戻られるはずです。代わりに私が伺いますが』
少し考えてから、和樹は彼女に伝言を託すことにした。
「急用ができて今夜自宅に帰れなくなった。私は今から空港近くのセントラルホテルに移動して、明日はそのまま香港へ出発したい。今からメールでパッキングに必要な物のリストを送るから、それを自宅へ取りに行ってホテルまで届けてほしい」
海外出張に慣れている和樹に本当に必要なものはさほど多くはない。必要最低限の物があればあとは現地調達でかまわない。
秘書室には自宅の鍵を預けてある。それこそ海外にいた頃、自宅へ帰ることができないくらい忙しい時期はこういうことはよくあった。
楓と結婚してからは一度も許可していなかったが。
『わかりました。ですが、それなら私が自宅へ取りに伺います。香港へは私が同行しますから。私もこのあとセントラルホテルに前泊する予定ですし』
黒柳の言う通り香港へは、彼女を同行することになっている。
ならばその方が効率がいいのは確かだが、自宅へ来られるのは都合が悪い。
和樹は考えながら口を開く。
「いや……君が届けてくれるのは助かるが、自宅へは一ノ瀬が行ってくれ。……彼は私の私物の場所を知っているから、彼の方がいい」
適当な理由をつけて指示すると、彼女は素直に頷いた。
「わかりました。それでは後ほど」
通話を切って、和樹は舌打ちをする。こうするより仕方がなかったのは確かだが、失敗したという気分になる。
自宅が空港から遠い黒柳が、セントラルホテルに前泊予定というのを忘れていた。
ただ荷物を届けてもらうだけとはいえ、夜にホテルで会うというシチュエーションが煩わしかった。
……とはいえ、今さらホテルを変えるのは不自然だ。
和樹はため息をついて、ホテルの予約を取るために携帯をタップした。
帰国してから動き回っていた和樹にとって、急な予定変更はさほど珍しいことでもない。
次に和樹は一ノ瀬の携帯を鳴らす。
しかし彼は出なかった。仕方なく今度は秘書室をコールした。電話口に出たのは黒柳だった。
『一ノ瀬さんなら、もう少ししたら戻られるはずです。代わりに私が伺いますが』
少し考えてから、和樹は彼女に伝言を託すことにした。
「急用ができて今夜自宅に帰れなくなった。私は今から空港近くのセントラルホテルに移動して、明日はそのまま香港へ出発したい。今からメールでパッキングに必要な物のリストを送るから、それを自宅へ取りに行ってホテルまで届けてほしい」
海外出張に慣れている和樹に本当に必要なものはさほど多くはない。必要最低限の物があればあとは現地調達でかまわない。
秘書室には自宅の鍵を預けてある。それこそ海外にいた頃、自宅へ帰ることができないくらい忙しい時期はこういうことはよくあった。
楓と結婚してからは一度も許可していなかったが。
『わかりました。ですが、それなら私が自宅へ取りに伺います。香港へは私が同行しますから。私もこのあとセントラルホテルに前泊する予定ですし』
黒柳の言う通り香港へは、彼女を同行することになっている。
ならばその方が効率がいいのは確かだが、自宅へ来られるのは都合が悪い。
和樹は考えながら口を開く。
「いや……君が届けてくれるのは助かるが、自宅へは一ノ瀬が行ってくれ。……彼は私の私物の場所を知っているから、彼の方がいい」
適当な理由をつけて指示すると、彼女は素直に頷いた。
「わかりました。それでは後ほど」
通話を切って、和樹は舌打ちをする。こうするより仕方がなかったのは確かだが、失敗したという気分になる。
自宅が空港から遠い黒柳が、セントラルホテルに前泊予定というのを忘れていた。
ただ荷物を届けてもらうだけとはいえ、夜にホテルで会うというシチュエーションが煩わしかった。
……とはいえ、今さらホテルを変えるのは不自然だ。
和樹はため息をついて、ホテルの予約を取るために携帯をタップした。