契約妻失格と言った俺様御曹司の溺愛が溢れて満たされました【憧れシンデレラシリーズ】
「どういうことですか⁉︎ 帰国を早めたなんて話、私は聞いていません」
オリバーと別れて、階下の自分の部屋へ戻るなり黒柳が声をあげた。
「急用ができたんだ。フライトの手配は自分でした。申し訳ないがひとり分しか取れなかったから、君は予定通り宿泊して明日のフライトで帰国してくれないか」
和樹は、荷物をまとめながら答えた。
「でも、オリバー氏はこれからの我が社のイメージ戦略に欠かせない方です」
「彼は私の古くからの友人だ。こういうことは彼の方がよくあった。だからまったく問題はない。もちろん、きちんと埋め合わせはしておくよ」
「ですが……!」
「それに、グローバル基準では経営者であっても家庭が第一なのは好印象だ。経営者としてはイメージダウンにはならない」
和樹はそう言い切るが、黒柳はなおも食い下がった。
「ですが、だからと言って嘘をつくのは、あまり得策ではないと思います!」
その言葉に、スーツケースにネクタイを詰め込んでいた手を止めて、和樹は彼女を振り返った。
「嘘?」
黒柳がハッとしたように口を閉じる。
和樹がオリバーに『妻の関係で』と口にしたことを言っているのだろう。
和樹は目を細めて彼女を睨んだ。
「嘘ではない。急遽、妻の元へ戻る必要ができたんだ。プライベートなことだから自分で手配した。……君はどうしてそんなことを言うんだ?」
黒柳が「それは……」と言ってうつむいた。言えられるはずがないのだろう。そのまま沈黙する。
和樹はため息をついた。
「……いずれにせよ君にはスケジュールの変更を伝えるつもりはなかった。君は今日付けで、私の秘書から外れてもらう。秘書室からも異動だ」
和樹は冷たく言い渡す。本当は帰国後に伝えるつもりだったが、仕方がない。
黒柳が弾かれたように顔を上げた。
「そんな……! どうしてですか?」
「重大な指示違反があったからだ。一昨日、私は自宅へは一ノ瀬が行くようにと指示をした。君はそれに背いて勝手に自宅へ行ったな。しかも一ノ瀬に、嘘の報告をして」
正確には、当初彼女は報告自体しなかったようだ。だが、昨日の社用車の動きを確認した一ノ瀬にメールで問いただされて、自分が行ったことを認めたという。
オリバーと別れて、階下の自分の部屋へ戻るなり黒柳が声をあげた。
「急用ができたんだ。フライトの手配は自分でした。申し訳ないがひとり分しか取れなかったから、君は予定通り宿泊して明日のフライトで帰国してくれないか」
和樹は、荷物をまとめながら答えた。
「でも、オリバー氏はこれからの我が社のイメージ戦略に欠かせない方です」
「彼は私の古くからの友人だ。こういうことは彼の方がよくあった。だからまったく問題はない。もちろん、きちんと埋め合わせはしておくよ」
「ですが……!」
「それに、グローバル基準では経営者であっても家庭が第一なのは好印象だ。経営者としてはイメージダウンにはならない」
和樹はそう言い切るが、黒柳はなおも食い下がった。
「ですが、だからと言って嘘をつくのは、あまり得策ではないと思います!」
その言葉に、スーツケースにネクタイを詰め込んでいた手を止めて、和樹は彼女を振り返った。
「嘘?」
黒柳がハッとしたように口を閉じる。
和樹がオリバーに『妻の関係で』と口にしたことを言っているのだろう。
和樹は目を細めて彼女を睨んだ。
「嘘ではない。急遽、妻の元へ戻る必要ができたんだ。プライベートなことだから自分で手配した。……君はどうしてそんなことを言うんだ?」
黒柳が「それは……」と言ってうつむいた。言えられるはずがないのだろう。そのまま沈黙する。
和樹はため息をついた。
「……いずれにせよ君にはスケジュールの変更を伝えるつもりはなかった。君は今日付けで、私の秘書から外れてもらう。秘書室からも異動だ」
和樹は冷たく言い渡す。本当は帰国後に伝えるつもりだったが、仕方がない。
黒柳が弾かれたように顔を上げた。
「そんな……! どうしてですか?」
「重大な指示違反があったからだ。一昨日、私は自宅へは一ノ瀬が行くようにと指示をした。君はそれに背いて勝手に自宅へ行ったな。しかも一ノ瀬に、嘘の報告をして」
正確には、当初彼女は報告自体しなかったようだ。だが、昨日の社用車の動きを確認した一ノ瀬にメールで問いただされて、自分が行ったことを認めたという。