契約妻失格と言った俺様御曹司の溺愛が溢れて満たされました【憧れシンデレラシリーズ】
その際"自分が行くように指示を受けた"と説明したものだから、不審に思った一ノ瀬から和樹に直接報告があったというわけだ。和樹が自宅へ一ノ瀬以外の者を向かわせるはずがない。
「た、確かに私がご自宅へお伺いしました。でも、い、一ノ瀬さんはなかなか帰ってこなかったし、……その方が効率的だと思ったのです。あ、悪意はありませんでした……」
「だが、ことは自宅への訪問だ。他の指示とは訳が違う。君の訪問を私が明確に拒否している状況で勝手に入ったとしたら、不法侵入だと言われてもおかしくはない」
冷たく言い切ると、黒柳は真っ青になって今にも泣きだしそうである。だが、同情する気持ちは微塵も起きなかった。
今朝の一ノ瀬の報告のすぐ後に、楓から来たメッセージを思い出す。
《大切なお仕事中にすみません。副社長との例の契約を終了させたいです。タイミングと発表は、副社長にお任せします。急なお願いで申し訳ありませんが、よろしくお願いします》
爆発しそうな怒りが腹の底からの湧いてくるのをなんとか抑えて、低い声で問いただす。
「君は自宅で妻に会ったな? ……彼女になにを言った?」
和樹と楓の関係があまり良くなかったのは確かだが、このタイミングで楓が契約終了を言い出したのに、小細工までして自宅へ行った黒柳が、無関係だとは思えなかった。
普段はうるさく感じてはいても、極力紳士的に接していた。
が、それも今はできなかった。楓を傷つける者は誰であっても許さない。
和樹の怒りを目の当たりにして黒柳は口もきけないようになっている。震える唇を開きかける。
「わ、私……」
「いや、いい。君の言葉を信用することはできない。妻から直接聞くことにするよ。出て行ってくれ」
冷たく言い放つ。が、彼女は出ていかずしばらく沈黙したのち、不満そうに呟いた。
「……なによ、家庭内別居のくせに」
「た、確かに私がご自宅へお伺いしました。でも、い、一ノ瀬さんはなかなか帰ってこなかったし、……その方が効率的だと思ったのです。あ、悪意はありませんでした……」
「だが、ことは自宅への訪問だ。他の指示とは訳が違う。君の訪問を私が明確に拒否している状況で勝手に入ったとしたら、不法侵入だと言われてもおかしくはない」
冷たく言い切ると、黒柳は真っ青になって今にも泣きだしそうである。だが、同情する気持ちは微塵も起きなかった。
今朝の一ノ瀬の報告のすぐ後に、楓から来たメッセージを思い出す。
《大切なお仕事中にすみません。副社長との例の契約を終了させたいです。タイミングと発表は、副社長にお任せします。急なお願いで申し訳ありませんが、よろしくお願いします》
爆発しそうな怒りが腹の底からの湧いてくるのをなんとか抑えて、低い声で問いただす。
「君は自宅で妻に会ったな? ……彼女になにを言った?」
和樹と楓の関係があまり良くなかったのは確かだが、このタイミングで楓が契約終了を言い出したのに、小細工までして自宅へ行った黒柳が、無関係だとは思えなかった。
普段はうるさく感じてはいても、極力紳士的に接していた。
が、それも今はできなかった。楓を傷つける者は誰であっても許さない。
和樹の怒りを目の当たりにして黒柳は口もきけないようになっている。震える唇を開きかける。
「わ、私……」
「いや、いい。君の言葉を信用することはできない。妻から直接聞くことにするよ。出て行ってくれ」
冷たく言い放つ。が、彼女は出ていかずしばらく沈黙したのち、不満そうに呟いた。
「……なによ、家庭内別居のくせに」