契約妻失格と言った俺様御曹司の溺愛が溢れて満たされました【憧れシンデレラシリーズ】
和樹が楓の髪をなでて呟いた。
「夢みたいだ。君をこうして抱けるなんて」
「私もです。まさか和樹さんが同じ気持ちだったなんて……。もう別れるしかないって思ってたから」
「別れるしかない……か」
「はい。黒柳さんがここへ来る少し前に、私、一ノ瀬さんから和樹さんが三葉商船の副社長として世間でも認められつつあるって聞いたんです。だとしたらもう和樹さんは契約の目的を達成したってことになるでしょう? だから……」
とそこで和樹がなにかに気がついたように「あ」と声をあげ、安堵したように呟いた。
「あれは、一ノ瀬だったんだな。楓がカフェで一緒にいたのは」
「カフェ? ……そうです、いつもの面談です。……和樹さん見てたんですか?」
尋ねると彼はくっくと笑い出す。
「ああ、見たよ。でも相手が一ノ瀬だとは思えなかったから……。でもそういえば、あの日の一ノ瀬と同じ色のスーツだったな。……そんなことにも気づかないなんて、やっぱり楓には叶わないな」
意味不明なことを言っている。
「どういうことですか?」
首を傾げる楓の頬に、彼はチュッとキスをした。
「君のことになると俺はいつも冷静でいられなくなるという意味だ。いつもの判断力の半分も発揮できなくなる。そもそも君が契約妻として適任でないと思ったのに猶予期間を設けて指導するとまで言っただろう? あそこからしておかしかった。それからなぜか君といるといつもの外面ができなくなって、ついついからかうようなことを言ってしまうことも。挙げ句の果てには、一ノ瀬と一緒にいるところを見ただけでくだらない嫉妬までして……。本当に、数えきれないくらいあるな。叶わないよ」
そう言ってまた笑っている。
「そんな……。私、そんなつもりはありません」
「夢みたいだ。君をこうして抱けるなんて」
「私もです。まさか和樹さんが同じ気持ちだったなんて……。もう別れるしかないって思ってたから」
「別れるしかない……か」
「はい。黒柳さんがここへ来る少し前に、私、一ノ瀬さんから和樹さんが三葉商船の副社長として世間でも認められつつあるって聞いたんです。だとしたらもう和樹さんは契約の目的を達成したってことになるでしょう? だから……」
とそこで和樹がなにかに気がついたように「あ」と声をあげ、安堵したように呟いた。
「あれは、一ノ瀬だったんだな。楓がカフェで一緒にいたのは」
「カフェ? ……そうです、いつもの面談です。……和樹さん見てたんですか?」
尋ねると彼はくっくと笑い出す。
「ああ、見たよ。でも相手が一ノ瀬だとは思えなかったから……。でもそういえば、あの日の一ノ瀬と同じ色のスーツだったな。……そんなことにも気づかないなんて、やっぱり楓には叶わないな」
意味不明なことを言っている。
「どういうことですか?」
首を傾げる楓の頬に、彼はチュッとキスをした。
「君のことになると俺はいつも冷静でいられなくなるという意味だ。いつもの判断力の半分も発揮できなくなる。そもそも君が契約妻として適任でないと思ったのに猶予期間を設けて指導するとまで言っただろう? あそこからしておかしかった。それからなぜか君といるといつもの外面ができなくなって、ついついからかうようなことを言ってしまうことも。挙げ句の果てには、一ノ瀬と一緒にいるところを見ただけでくだらない嫉妬までして……。本当に、数えきれないくらいあるな。叶わないよ」
そう言ってまた笑っている。
「そんな……。私、そんなつもりはありません」