契約妻失格と言った俺様御曹司の溺愛が溢れて満たされました【憧れシンデレラシリーズ】
「心の底から愛おしいと思う相手と、こうなるのは俺もはじめてだ」
「和樹さん……」
「言い訳にしかならないが、俺はずっと三葉家の長男としての役割を果たすために生きてきた。どうにも自分には合わないと理解するまでは、結婚もそのひとつだと思っていた。だからそれなりの経験はある。その過去は消せないけれど、本当に好きになったのは……生涯をともにしたいと思ったのは、楓、君がはじめてなんだ。これだけは信じてほしい」
真っ直ぐで飾らない言葉に、楓の心は温かくなる。
旧財閥の家に生まれて、楓には想像もできないような重いものを背負ってきた彼は、いくつかの顔を使い分けていた。おそらくはそれが彼の生きる術だったのだ。
その彼が、素顔をさらけ出し、素直な言葉で楓への愛を口にしている。
その真っ直ぐな眼差しに、楓の中の不安が溶けてゆく……。
「はい、信じます」
答えると、ゆっくりと近づく彼の視線を、目を閉じて待つ。もう迷いはなかった。
「ん……」
大きな手がうなじから差し込まれる感覚と腰に回された力強い腕、自分の中を暴れ回る彼の香りに、楓の背中を心地のいいぞくぞくが駆け抜けてゆく。
漏れ出る声を止めることができなかった。
混ざり合うふたりの吐息が、彼の寝室を艶めいた色に染め上げてゆく。
「楓、愛してる。俺のものになってくれ」
耳朶を這う彼の唇が、切なげに愛を乞う。低くて甘い彼の懇願に抗うことなどできるはずがない。
それでもイエスと言葉にすることはできなくて、代わりに彼の背中に回した両手で彼のTシャツをギュッと握る。
——それだけで、思いは彼に伝わる。
欲しがるように身体を辿る大きな手の感覚に、甘い息を吐いた時、ひんやりとしたシーツに優しく寝かされた。
「和樹さん……」
「言い訳にしかならないが、俺はずっと三葉家の長男としての役割を果たすために生きてきた。どうにも自分には合わないと理解するまでは、結婚もそのひとつだと思っていた。だからそれなりの経験はある。その過去は消せないけれど、本当に好きになったのは……生涯をともにしたいと思ったのは、楓、君がはじめてなんだ。これだけは信じてほしい」
真っ直ぐで飾らない言葉に、楓の心は温かくなる。
旧財閥の家に生まれて、楓には想像もできないような重いものを背負ってきた彼は、いくつかの顔を使い分けていた。おそらくはそれが彼の生きる術だったのだ。
その彼が、素顔をさらけ出し、素直な言葉で楓への愛を口にしている。
その真っ直ぐな眼差しに、楓の中の不安が溶けてゆく……。
「はい、信じます」
答えると、ゆっくりと近づく彼の視線を、目を閉じて待つ。もう迷いはなかった。
「ん……」
大きな手がうなじから差し込まれる感覚と腰に回された力強い腕、自分の中を暴れ回る彼の香りに、楓の背中を心地のいいぞくぞくが駆け抜けてゆく。
漏れ出る声を止めることができなかった。
混ざり合うふたりの吐息が、彼の寝室を艶めいた色に染め上げてゆく。
「楓、愛してる。俺のものになってくれ」
耳朶を這う彼の唇が、切なげに愛を乞う。低くて甘い彼の懇願に抗うことなどできるはずがない。
それでもイエスと言葉にすることはできなくて、代わりに彼の背中に回した両手で彼のTシャツをギュッと握る。
——それだけで、思いは彼に伝わる。
欲しがるように身体を辿る大きな手の感覚に、甘い息を吐いた時、ひんやりとしたシーツに優しく寝かされた。