契約妻失格と言った俺様御曹司の溺愛が溢れて満たされました【憧れシンデレラシリーズ】
百八十センチの長身に少しウェーブがかかった黒い髪、大きくて綺麗な目とスッと通った鼻筋が印象的な、完璧ともいうべき彼の容姿がそうさせるのか。
あるいは旧財閥三葉家の長男としての育ちのよさが滲みでているということか。
そんなことを考えながら、甘いコーヒーを飲んでいると、スーツに着替えて鞄を持った和樹が降りてくる。
経理部に所属する楓の同僚たちとは明らかに違う光沢を放つ高級なスーツ着た様は、まるで雑誌の中のモデルかなにかのようだった。
階段を下りるというただそれだけの動作すら、どこか優雅に感じられる。
この家は会社から車で十五分ほどの距離にある。一般社員ならまだ家を出る時間ではないが、海外とやり取りすることも多い彼にはそんなことは関係ない。
楓が「いってらっしゃいませ」と声をかけると、笑みを浮かべてそれに答えた。
「ああ、いってきます」
でも玄関へ向かおうとして立ち止まり、そのままなにやら思案している。
楓は首を傾げた。
「どうかされましたか?」
和樹が振り返った。
「いや、……ああ。……今日は少し早く帰れそうなんだ」
その答えに、楓は瞬きをして彼を見つめたまま返事をすることができなかった。
今夜の帰宅時間を妻に伝える。
普通の夫婦ならあたりまえのやり取りだが、ふたりにとってはそうではない。
彼の夕食を作ることも一緒の部屋で眠ることもない楓は、彼のスケジュールをまったく把握していない。
それなのに、どうして彼は突然こんなことを言うのだろう?
唖然とする楓に、和樹が言葉のわけを説明する。
「確か今日は結婚してちょうど半年だろう? 帰りに食事でもどうだ?」
それでも楓は納得できなかった。結婚半年の記念日に夫婦ふたりで食事をする。
あるいは旧財閥三葉家の長男としての育ちのよさが滲みでているということか。
そんなことを考えながら、甘いコーヒーを飲んでいると、スーツに着替えて鞄を持った和樹が降りてくる。
経理部に所属する楓の同僚たちとは明らかに違う光沢を放つ高級なスーツ着た様は、まるで雑誌の中のモデルかなにかのようだった。
階段を下りるというただそれだけの動作すら、どこか優雅に感じられる。
この家は会社から車で十五分ほどの距離にある。一般社員ならまだ家を出る時間ではないが、海外とやり取りすることも多い彼にはそんなことは関係ない。
楓が「いってらっしゃいませ」と声をかけると、笑みを浮かべてそれに答えた。
「ああ、いってきます」
でも玄関へ向かおうとして立ち止まり、そのままなにやら思案している。
楓は首を傾げた。
「どうかされましたか?」
和樹が振り返った。
「いや、……ああ。……今日は少し早く帰れそうなんだ」
その答えに、楓は瞬きをして彼を見つめたまま返事をすることができなかった。
今夜の帰宅時間を妻に伝える。
普通の夫婦ならあたりまえのやり取りだが、ふたりにとってはそうではない。
彼の夕食を作ることも一緒の部屋で眠ることもない楓は、彼のスケジュールをまったく把握していない。
それなのに、どうして彼は突然こんなことを言うのだろう?
唖然とする楓に、和樹が言葉のわけを説明する。
「確か今日は結婚してちょうど半年だろう? 帰りに食事でもどうだ?」
それでも楓は納得できなかった。結婚半年の記念日に夫婦ふたりで食事をする。