契約妻失格と言った俺様御曹司の溺愛が溢れて満たされました【憧れシンデレラシリーズ】
思わず弱気な言葉を口にすると、和樹が目を細めて立ち上がる。
楓はギョッとして口を閉じた。
和樹が楓の方へ手を伸ばし楓の髪をまとめているシュシュを引き抜いた。
そのまま顎を掴まれ上を向かせられる。
「つっ……!」
彼から感じるスパイシーなムスクの香りと、まるで検品するかのような鋭い視線に、楓の鼓動がどくんと跳ねた。
いきなりの接近に文句を言うこともできず息を殺して見つめ返す。ひとりでに頬が熱くなっていく。
やはり彼は見てくれだけは完璧だ。綺麗な瞳と長いまつ毛、高い鼻梁、圧倒的な存在感……。
和樹が、ため息をついて顎の手を離した。
「……なんとかなるだろう」
「な、なんとかって……」
失礼な言葉にムッとするが、それ以上は言えなかった。
契約終了の危機にある今は、彼には逆らうことはできない。
和樹が楓に向かって指を一本立てて示した。
「一カ月だ」
「……え?」
「俺が君に与える猶予期間だ。一カ月の間に誰から見ても俺の妻だと言われるような女になれ。一カ月後のクイーンクローバー号就航式典に夫婦で出席することにした」
「しゅ、就航式典に……?」
驚いて楓は目を見開いた。
クイーンクローバー号は三葉商船初の超大型豪華客船だ。
すでに貨物輸送の分野では世界の海を制している三葉商船が、新たな一歩を踏み出すとして世界中から注目されている。
ゲストは国内にとどまらず世界中から招待することになっていた。
「ああ、いい機会だろう? そこで俺たちは仮面夫婦などではなく本当の夫婦なのだということを、しっかりと周囲にアピールする。それまでに君が、見た目持ち物、立ち居振る舞い、なにもかも誰から見ても俺の妻だと言われるようになれなければ契約は終了だ」
「一カ月……」
楓はギョッとして口を閉じた。
和樹が楓の方へ手を伸ばし楓の髪をまとめているシュシュを引き抜いた。
そのまま顎を掴まれ上を向かせられる。
「つっ……!」
彼から感じるスパイシーなムスクの香りと、まるで検品するかのような鋭い視線に、楓の鼓動がどくんと跳ねた。
いきなりの接近に文句を言うこともできず息を殺して見つめ返す。ひとりでに頬が熱くなっていく。
やはり彼は見てくれだけは完璧だ。綺麗な瞳と長いまつ毛、高い鼻梁、圧倒的な存在感……。
和樹が、ため息をついて顎の手を離した。
「……なんとかなるだろう」
「な、なんとかって……」
失礼な言葉にムッとするが、それ以上は言えなかった。
契約終了の危機にある今は、彼には逆らうことはできない。
和樹が楓に向かって指を一本立てて示した。
「一カ月だ」
「……え?」
「俺が君に与える猶予期間だ。一カ月の間に誰から見ても俺の妻だと言われるような女になれ。一カ月後のクイーンクローバー号就航式典に夫婦で出席することにした」
「しゅ、就航式典に……?」
驚いて楓は目を見開いた。
クイーンクローバー号は三葉商船初の超大型豪華客船だ。
すでに貨物輸送の分野では世界の海を制している三葉商船が、新たな一歩を踏み出すとして世界中から注目されている。
ゲストは国内にとどまらず世界中から招待することになっていた。
「ああ、いい機会だろう? そこで俺たちは仮面夫婦などではなく本当の夫婦なのだということを、しっかりと周囲にアピールする。それまでに君が、見た目持ち物、立ち居振る舞い、なにもかも誰から見ても俺の妻だと言われるようになれなければ契約は終了だ」
「一カ月……」