契約妻失格と言った俺様御曹司の溺愛が溢れて満たされました【憧れシンデレラシリーズ】
目の前に並べられたまるで宝石のようなスイーツに、楓のもやもやは吹き飛んだ。
 
昼ごはんは食べたから、格別お腹がすいているというわけではないが、とにかく疲労を感じていて身体が甘いものを欲している。しかも楓は、スイーツに目がない。
 
これは、食べてもいいのだろうか……?
 
それとも……?
 
楓がチラリと和樹を見ると、彼は腕を組んで眉を上げた。

「次はマナー講習だ。俺の妻として恥ずかしくない振る舞いができるよう練習をしてもらう」

「えー……」
 
楓はガックリと肩を落として脱力した。
 
……つまり指導の一貫だというわけだ。

「今からですか……」
 
思わず情けない声が出てしまう。
 
そりゃ一カ月後にパーティに出席するのだから、マナーを身につけている必要はある。五つ星ホテルは実践しながら学ぶ場面として最適だろう。

ついでだから今日やってしまおうというのは納得だった。
 
でもだからといって今からと言われると、つらかった。とにかく今は……疲れ切っている。
 
とはいえやらないわけにはいかないのだろう。

すでにアフタヌーンティーはオーダーしてしまっているのだから。

「……わかりました。頑張ります……」
 
眉を下げ、しょんぼりとして楓が言うと、和樹が噴き出した。

そしてそのまま、はははと声をあげて笑っている。

意外な彼の反応に目をパチパチさせていると、彼は心底おかしそうに口を開いた。

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