契約妻失格と言った俺様御曹司の溺愛が溢れて満たされました【憧れシンデレラシリーズ】
ほんの少しヘアカットとメイクを施しただけで見違えるようになった彼女の素質に気がついていからだ。
「服も靴もアクセサリーも、ほとんど俺がプロデュースしてやったんだから、それらしくなるのは当然だ」
言い切ると、一ノ瀬が首を傾げた。
「副社長が、奥さまの持ち物を一緒にお選びになられたんですか? ……珍しいですね」
「ああ、仮面夫婦だという例の疑惑を払拭するためだ。このままでは結婚した意味がないからな。彼女が俺の妻らしくなれるよう指導することにした」
「指導……ですか」
「今までまったくかかわらないでいたから知らなかったんだが、彼女、服も靴も鞄も数えるほどしか持ってないんだ。だから一から揃えることにしたんだが……」
と、そこでスイートルームでの楓の様子が頭に浮かび、和樹の口もとに笑みが浮かぶ。
「彼女、外商に囲まれても全然自分でちゃんとした物を選べないんだよ。……だから仕方なく、俺が……」
堪えきれなくなって、和樹は肩を揺らして笑った。
そもそもはじまりからしておかしかった。
『本日はお集まりいただきありがとうございます』と言って、深々と頭を下げていたのだから。
真面目な彼女らしい行動だが、三葉家の長男妻としてはややズレた振る舞いだ。
三葉家の長男妻らしくなれるよう指導すると言った手前、訂正するべきだったかもしれないが、咎める気にはなれなかった。
そんなところはそのままでいいと思ったからだ。
一ノ瀬がやや戸惑いながら頷いた。
「なるほど……。だから、あの日は副社長のレスポンスが少し鈍かったんですね。まぁ、業務に差し障りはなかったですが」
今まで恋人がいる期間は、百貨店の外商を呼ぶという形態の買い物デートをすることが多かった。
相手が喜ぶだけでなく和樹にとっても好都合だからだ。
外商に囲まれるとたいていの女は舞い上がり、和樹なしで夢中で買い物をする。
その間和樹は、仕事ができるというわけだ。
同じ空間にいながらそれほど相手をしなくていいという和樹の一番好きな形態のデートだった。
あの日も和樹のやり方に慣れている一ノ瀬に指示をして当初の予定をリモートに切り替えていたのだ。
「服も靴もアクセサリーも、ほとんど俺がプロデュースしてやったんだから、それらしくなるのは当然だ」
言い切ると、一ノ瀬が首を傾げた。
「副社長が、奥さまの持ち物を一緒にお選びになられたんですか? ……珍しいですね」
「ああ、仮面夫婦だという例の疑惑を払拭するためだ。このままでは結婚した意味がないからな。彼女が俺の妻らしくなれるよう指導することにした」
「指導……ですか」
「今までまったくかかわらないでいたから知らなかったんだが、彼女、服も靴も鞄も数えるほどしか持ってないんだ。だから一から揃えることにしたんだが……」
と、そこでスイートルームでの楓の様子が頭に浮かび、和樹の口もとに笑みが浮かぶ。
「彼女、外商に囲まれても全然自分でちゃんとした物を選べないんだよ。……だから仕方なく、俺が……」
堪えきれなくなって、和樹は肩を揺らして笑った。
そもそもはじまりからしておかしかった。
『本日はお集まりいただきありがとうございます』と言って、深々と頭を下げていたのだから。
真面目な彼女らしい行動だが、三葉家の長男妻としてはややズレた振る舞いだ。
三葉家の長男妻らしくなれるよう指導すると言った手前、訂正するべきだったかもしれないが、咎める気にはなれなかった。
そんなところはそのままでいいと思ったからだ。
一ノ瀬がやや戸惑いながら頷いた。
「なるほど……。だから、あの日は副社長のレスポンスが少し鈍かったんですね。まぁ、業務に差し障りはなかったですが」
今まで恋人がいる期間は、百貨店の外商を呼ぶという形態の買い物デートをすることが多かった。
相手が喜ぶだけでなく和樹にとっても好都合だからだ。
外商に囲まれるとたいていの女は舞い上がり、和樹なしで夢中で買い物をする。
その間和樹は、仕事ができるというわけだ。
同じ空間にいながらそれほど相手をしなくていいという和樹の一番好きな形態のデートだった。
あの日も和樹のやり方に慣れている一ノ瀬に指示をして当初の予定をリモートに切り替えていたのだ。