エリート御曹司はママになった初恋妻に最愛を注ぎ続ける
いつしか私が遊びやすいようにキッチンの下にはやわらかいマットが敷かれ、食器や食べ物のおもちゃまで用意されるようになる。幼稚園でもままごと遊びが好きだった私にとって、ワクワクと胸が高鳴るスペースだった。
その日も、小さなそのスペースに靴を脱いで上がり、トン、トン、と小気味のいい音を立てる木のまな板で、おもちゃの人参を切っていた。
しばらくして、店外に面したガラス張りの壁から、この辺りではあまり見かけない高級車が一台停まるのが見えた。
ままごとの手を止め車の方をなにげなく見ていると、近所で触れ合う年上の男性や幼稚園で見かける友達のパパとは少し雰囲気の違う、身なりのとても整った若い男性が車から出てくる。
その後ろに続いて、小学生くらいの男の子も下りてきた。
真っ白なポロシャツに紺色のベスト、チェック柄の半ズボンをはいた姿が、先ほどの男性同様とてもきちっとした印象を受ける。
そのままジロジロと男の子を目で追っていたら、ガラス越しに目が合った。
くっきりとしたアーモンド形の目に、大きな黒い瞳。その美しさにぽかんとしているうちに、男性と男の子は店内に入ってきた。