エリート御曹司はママになった初恋妻に最愛を注ぎ続ける
「ごめんなさい、胡桃について話すのは、もう少しだけ待ってもらっていいですか? あの子の気持ちを一番に考えたいので」
「ああ、胡桃ちゃんの気持ちを尊重するのには俺も賛成だ。亜椰が話せると思ったタイミングで構わない」
「ありがとうございます」
優しい返答にホッとして、食べ進んでいなかった料理に口をつける。
その美味しさに頬を緩ませていると、正面で同じように食事を再開しようとしていた彼が、一度ナイフとフォークを置いた。
「ただ、これだけは覚えておいてほしい。胡桃ちゃんがたとえ俺の子でもそうでなくても、父親として全力で愛情を注ぐつもりだ。子ども時代の俺のような思いは、誰にもしてほしくないからな」
「瑛貴さん……」
彼の思いを知ると同時に、以前よりもさらに瑛貴さんという人を素敵だと感じる。
幼い頃につらい思いをしたからこそ、子どの痛みを理解しようと心を砕く。そんな彼の姿に、改めてときめきを覚えた。
胡桃にちゃんと話ができたら、私も包み隠さず伝えたい。
瑛貴さん、私はあなたが好きです、と――。