エリート御曹司はママになった初恋妻に最愛を注ぎ続ける
「つい話し込んでしまったな。店側がコースを進められないから急いで食事をしないと」
「ふふ、そうですね」
腕時計を確認して慌てる彼に、微笑みを返す。
それからは、食事をしながらレストランの内装についてふたりで感心したり、フィンランドでの思い出を語ったりしたほか、私は胡桃がいかにかわいい娘であるかを熱弁したりして、デザートを食べ終えるまでの約二時間、楽しい時間を過ごした。
夕暮れになる前に、自宅の最寄り駅へ帰ってきた。久々のホテルランチはとても美味しかったし、なにより瑛貴さんと腹を割って話すことができたので、家までの足取りも心も軽い。
だけど、胡桃にはいつ話そう……。
悩みながら歩いているうちに、自宅のそばまでやってきた。すると門の前に、麻人さんの軽トラックを見つける。
もしかしたら、今日のランチについて私から報告を受けるのを待っているとか……?
一気に緊張感が襲ってきて、自分の家なのに入るのを躊躇ってしまう。
だけど、瑛貴さんとのわだかまりが解け彼への恋心を再確認した今、麻人さんの告白は早めにお断りした方がいいだろう。せっかく来てくれているなら、ちょうどいい機会なのかもしれない。