エリート御曹司はママになった初恋妻に最愛を注ぎ続ける

「父さん、僕、こっちの家具を見ていてもいい?」
「ああ。品物に手を触れるんじゃないぞ」
「わかってる」

 彼らはどうやら親子だったらしい。父親の許しを得た彼は、なんとなしに店内の家具を見ながら、私のままごとスペースへやってきた。

「こんにちは」

 男の子は礼儀正しく挨拶してくれたけれど、彼の片足が靴のままマットに上がっていることに気づいた私は、「あっ!」と声をあげた。

「ダメ! 玄関ではちゃんと靴を脱いで」
「玄関……?」

 そんなものはないのだが、人差し指でピッとマットの端を指さすと、男の子は言われたとおりに靴を脱いでくれた。

 彼はマットの上に正座してキッチンを観察し始めたが、ちょうどいい遊び相手ができたと思った私は、唐突におままごとを開始する。

「お帰りなさい、あなた。もうすぐご飯ですからね」
「……あなたって、僕?」
「決まってるじゃん! お兄ちゃんは亜椰のダンナさん。今、お仕事から帰ってきたところ」
「あぁ、うん……」

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