エリート御曹司はママになった初恋妻に最愛を注ぎ続ける
初恋の続きは永遠に
静岡の叔父と叔母に別れを告げ、瑛貴さんが新たに購入した家族向けの低層マンションへ引っ越したのは十一月初旬。
引っ越しと同時に、入籍も済ませた。結婚式の準備は、焦らずゆっくり進めていくつもりだ。
新居のインテリアは瑛貴さんも私も大好きな北欧のアンティーク家具で揃え、もちろんリビングの一角にはあの小さなキッチンを置いた。
叔父の店で私が遊んでいた頃のようにキッチンの周囲におもちゃを集めたその空間は、胡桃のお気に入りスペースになっている。
「これ、パパのごはんよ」
「ありがとう」
「そいで、こっち、くまこちゃんの」
引っ越して二週間ほどが経ったその日、広々としたアイランドキッチンで私が夕食を作っている間、いつもより早い時間に帰宅した瑛貴さんと胡桃はおままごとをしていた。
人形用の小さなテーブルセットにに座っているのは、瑛貴さんが以前胡桃のために買ってくれたぬいぐるみのくまだ。
胡桃は〝くまこちゃん〟と名付けて外出時に持ち歩くほどお気に入りで、ままごと遊びではいつも小さな子どもの役をさせている。