エリート御曹司はママになった初恋妻に最愛を注ぎ続ける

 だけど、今の彼はひとりぼっちじゃない。私も胡桃もいるし、静岡に帰れば、叔父と叔母は彼のことも家族として温かく迎えてくれる。

 私はキッチンを出て行くと、彼の隣に膝をついていつもより小さく見えるその体をギュッと抱きしめた。

「あなたの家族は、ここにいます」

 うれしい時も悲しい時も、こうして心を分け合える家族。瑛貴さんが欲しかったものは、サンタクロースに願うまでもなく、ここにある。

 瑛貴さんは目を閉じて私に身を委ね、しばらくじっとしていた。

「……ありがとう、亜椰。今、とても懐かしい気持ちになったよ」

 瑛貴さんが、噛みしめるようにゆっくりとそう言った。

 腕をほどいて彼の顔を覗くと、瑛貴さんの優しい眼差しが私を見つめる。

「初めてきみに恋をした、あの日を思い出した。あれからずっと紡いできたきみへの想いがこんな風に実るなんて、本当に幸せだ」
「私もです」

 彼を見つめ返し、同じ気持ちだと伝える。瑛貴さんがそっと私の顔に手を添えて引き寄せ、触れるだけのキスを落とした。

 重ねた唇から伝わる深い愛情に、心が甘く痺れる。


「愛してる」


 熱のこもった声に囁かれ、また引き合うように唇を合わせた。

 ままごとから始まった私たちの初恋は、この先も永遠に終わらない。





 FIN

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